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本紀:
フゥム……百錬京の町中に、解説役を募ってみたはいいものの……
やって来たのはこれだけか。
せっかくこれから、『妖ノ宮』に興味を抱いてくださった皆様のために、解説を始めようというのに……。 |
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幸之進:
大事なのは、解説する人間の『数』じゃねえ。
『質』だろ? |
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数奇若:
それに、六人もいれば十分だと思うよ。 |
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本紀:
それもそうだな。
……よいな、これからおまえたちには、ふたり一組となって、『妖ノ宮』を試遊してもらう。 |
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佐和人:
片方が試遊し、片方がその模様を解説するのですね? |
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本紀:
うむ。 |
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輝治:
我々が解説役にまわるとなると……本紀様は? |
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本紀:
儂は政務に戻る。
あとは任せたぞ。 |
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数奇若:
……行っちゃった。 |
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幸之進:
なんだそれ……自分が楽したいだけじゃねーか!
これだから『お偉いさん』どもは……。 |
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典三
まあまあ、試遊の機会をいただけたのですから、
心置きなく楽しもうではありませんか。 |
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佐和人:
その通りです。
それに、皆様に、この遊戯のすばらしさを知っていただく機会でもあるのです。
がんばりましょう! |
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輝治:
ええ、御月殿の御曹司の言う通りですよ。
『妖ノ宮』のために! |
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数奇若:
うん、がんばろう! |
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佐和人:
(この『解説』に成功すれば、姫様はもっと僕のことを好きになってくれるに違いない。姫様のためなら、火の中水の中だ!) |
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輝治:
(フン……こんなお遊びには興味ないがね。本紀の覚えがよくなれば、私の発言力も増すというもの。そして、やがては神流河の支配者に……) |
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佐和人:
フフフフフ。 |
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輝治:
ハハハハハ! |
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幸之進:
……変な奴ら。 |